グループ代表者あいさつ

独自のアルファ化技術で「食の概念に革命」を起こします

拠点代表者:西岡 昭博

山形大学大学院有機材料システム研究科・教授

拠点代表者:西岡 昭博

にしおかあきひろ|教授
北海道札幌市出身。山形大学大学院理工学研究科博士後期課程修了、博士(工学)。山形大学工学部機能高分子工学科助手、山形大学大学院理工学研究科准教授を経て、現在に至る。

 山形大学認定先端フードテクノロジー研究グループ(Advanced Food TEChnology Research Group in Yamagata University:通称:AFTEC)の拠点長の西岡昭博です。我々は、平成28年度の山形大学先進的研究拠点支援事業として本研究拠点の形成を進めて参りました。AFTECは、皆さんの生活を支える「食」の分野において、世界的な研究拠点となるべく活動を進めることは当然ですが、研究成果の「見える化」を通じ、社会貢献を行うことも目的としています。

 AFTECが持つ基盤技術は、全く新しい手法による澱粉の「アルファ化」の技術です。この技術を用いれば、米などの澱粉を主成分とする穀類を粉砕するだけで、アルファ化穀粉とすることが可能です。アルファ化穀粉は水を加えるだけで、煮炊きしなくても食べることができる機能性食材です。またアルファ化米粉をグルテンの代替とすることで、小麦粉を用いない完全グルテンフリー食品の開発も可能にします。我々は本拠点の技術を用いることで、米粉100%のパンの開発と市販化を他に先駆けて達成した先駆者として認知されています。

 さらには、AFTECのアルファ化技術は、米以外の澱粉を主成分とした穀物に適応できるだけではなく、セルロース等のバイオマス資源にも応用可能です。すでに粉砕のみでセルロースの非晶化(アルファ化)が可能であることを実証し、バイオエタノール製造における前処理技術としての応用が期待されています。

 今後もAFTECは、「アルファ化米粉レシピコンテスト」などのアルファ化米粉の素晴らしさを知って頂くための取り組みを進めると同時に、山形大学工学部、農学部、地域文化教育学部、国内外の研究機関との強い連携のもと、最先端の研究開発を推進し、独自のアルファ化技術を利用した社会貢献に務めて参ります。引き続き、独自の「アルファ化技術」により食の未来に変革をもたらし、「食の概念に革命を起こす」を合い言葉に研究開発と社会貢献を進めて参ります。本拠点に対しての皆様のご理解とご協力を何卒よろしくお願い申し上げます。

独自のアルファ化技術(非晶化技術)によって、
食べ物から素材・エネルギーまで革命を起こしたい

加熱・せん断型粉砕システム

独自のアルファ化(非晶化)技術である温度制御型粉砕法(特許取得済)を用いて、アルファ化米粉を高品質かつ低コストで製造し、成長が見込まれるグルテンフリー食品市場へ参入します。グルテンフリー食品を多様化させることで米粉による小麦粉の代替を促進し、余剰米の利用及び食料自給率のアップに貢献します。さらに海外のグルテンフリー食品市場への参入も目指していきます。

本技術の特徴
  • 高品質:乾燥工程が無いため老化(ベータ化)が少なく美味しく消化に良い。デンプン分子の分子量が小さいため口溶けや消化に優れている。
  • 低コスト:炊飯・乾燥工程が無く加熱粉砕するだけなので低コストで製造できる。

また、この技術はデンプンだけでなくセルロースにも適用できます。アルファ化したセルロースとプラスチックを組み合わせることで高機能なウッドプラスチックの開発が可能になるなど、非晶性バイオマス材料の開発事業にも参入したいと考えています。また、バイオエタノールの製造工程における酵素糖化の効率を格段に改善できるため、バイオエタノール製造事業にも参入していきたいと考えています。

AFTEC形成のビジョン

独自のアルファ化技術を
世界へと発信し
“食の概念に革命を起こす”

AFTEC形成のビジョン

YU-COEとは

 山形大学は「地域に根ざし世界をリードする大学」としての存在意義を明確にするため、将来世界をリードするポテンシャルを持つ研究者や研究グループを学内から広く発掘し、研究拠点の形成を支援する事業として平成22年よりYU-COE事業を進めています。研究成果の集積化と研究拠点の充実化を図り、地域貢献と社会貢献を目指すと同時に、国際的に通用する高水準な研究を支援し関連する研究グループを育成するものです。

 AFTEC(山形大学認定先端フードテクノロジー研究グループ)は2016年度〜2018年度にYU-COE事業の支援を受け活動しています。さらに2017年度からは山形大学の認定研究所としても認可され、活動を行っています。